話はアルタイ村、ババイ家に戻ります。
 
 
さて、ババイ家は、6月16日にお引っ越しをしました。
牧民さんは、季節の変化にあわせて年に数回、お引っ越しをします。
これは、家畜の健康状態や草の状態を考えての行為なのですね。
常に家畜のことを第一に考える彼等の生活においては、
1ヶ所に定住、というわけにはいかないのです。
 
 
丁度、私がババイ家にいる間に引っ越しすることになったので、
今回はそのお引っ越しの様子をご紹介したいと思います。
 
 
まずは、引っ越し準備から。
 
 
冬営地にて。この人達本当に移動するのかな?と思うほど、家の中には家具がびっしり。
ベッド3台、ソファー1台、食器棚2台、テレビ、テーブル、長持ち2つ、鏡台、ほかほかほか...
ですが、2日前になってばたばたと荷造りを開始したのでした。
 
 
荷造りとは別に、夏営地で住む家の準備もしなくてはいけません。
そう、フェルト製の移動式住居です。モンゴル語では「ゲル」と呼ばれます。このゲルという言葉は日本でもよく聞かれる言葉だと思うのですが、カザフ語では「ウイ」と呼びます。
 
 
引っ越し前に、ウイの補修作業をしなくてはなりません。
 
 
例えば、壁を直したり↓
フェルトを縫い直したり↓
 

ウイはゲルとは構造が異なり、高く広い造りになっているため、冬にはあまり適しません。そのため多くのカザフ人は冬はスタックウイ(暑い家,温かい家)と呼ばれる木造住居で生活します。ウイに住むのは夏秋の3〜4ヶ月間だけなのです。久しぶりに引っ張りだしてきたウイを直す必要があるというわけです。
 
 
ばたばたと、引っ越しにむけて準備をしつつ、いよいよ16日に!
当日は、大きな大きなロシア製トラック「ゴチ」がやってきます。
これです、ゴチがやってきた!↓
 
 
引っ越し屋さん、朝6時にくるはずだったんですが、朝8時にやってきました。
大遅刻ですね。笑 
 
 
 
荷物を積んで積んで積んで、あららあっという間に出来上がり!
 
 

引っ越し先(夏営地)は、冬営地より12kmほど山を登った先にありました。冬営地よりずっとずっと寒いところでした。ババイ家が移動した場所は、サエハンボラクと呼ばれています。サエハンボラクとは、モンゴル語で、「良き泉」「美しき泉」を意味することばです。水資源、草、ともに豊かな綺麗な場所でした。
 
 
ゴチ(車)でのろのろのろのろと3時間くらいかけてサエハンボラクに到着。到着してまずはお茶飲んで、パン食べて、ゆっくり一段落してから、家の組み立て作業に移りました。
 
 
 
さて、どうやって家を建てるのかというと?
 
 
まずは、扉から。
↓これだけみると「どこでもドア」みたいな感じなのですが。。。
 
 
 
この扉に壁を結びつけていきます。
 
 
 
格子状になっている木の壁をぐいーーーんと引っぱり、結び結び繋げ合わせて丸い形をつくりあげていきます。壁を結びつけたら、まわりをぐるっと紐で固定します。
 
 
次に、家の柱となる部分と、天井部分(天窓)を結びつけて持ち上げます。
 
 
ババイ家では、木の柱でしたが、後で越してきたお隣さんは家の内部に柱がなく、天窓を持ち上げるときは、ジェルバオと呼ばれるしっかりした紐を使って天窓を持ち上げてました。
こんな感じに↓
 
 
さて、天窓をもちあげたら、天窓に開けられている穴に向かって、棒を差し込んでいきます。棒の上の部分を天窓に、下の部分は壁に結びつけていきます。
 
 
木の枠組みを組み立て終わったら、あとは、壁や天井部分を、模様の描かれた布→アクチー&オラガンチー(←"カザフの装飾品"を参照)→フェルト→雨対策のビニール→外壁となる固い生地の布などで、ぐるぐるぐるぐるぐると包み込むように巻いていきます。
 
 
 
最後に、天窓に日光量を調節するための布をかぶせて、完成です!
じゃーーーーん!
↓ババイ家正面
↓ババイ家内部
 
 
あーーーーー、やっとできたーーーーーーー!!!
で、その後、ベッドや家具などを家の中に入れて入れて整えて、お隣さんの家の組み立ても手伝って、気がついた頃にはもうとっぷり夜になってました。げはーーーー。お引っ越しって大変。長い長い一日でした。blogの記事もすっかり長くなってしまいました。。。すいません。
 
 
 
次回は、ウイ組み立ての時に感じたことをちょっと書いてみたいなと思ったりしてます。