午前3時、慌ただしくなり、それから暫くすると何人かが外へ出て行った。
私の意識は、連日の早起き&移動で朦朧としていて、何かが起こっているのはわかったんだけど、体を起こし時間だけ確認してダウン・・・。
朝6時すぎ、さすがに何が起きたのか気になって起床。
マヤちゃん含め、家の女の子たちとお父さんがテーブルについてお茶を飲んでいました。
私「なんか、明け方騒がしかったけど、どうしたの?」
ま「姉さんが(マヤ旦那兄の妻)産気づいたの・・・」
ひょ~!?そういうこと?!
明け方、突然陣痛が始まり、お母さん(マヤちゃん旦那母)が付き添って、妊婦さんはそのまま郡中央の病院へ・・・ああ~、だから車の音が・・・
ぽかーんと座っていると、お父さん(マヤちゃん旦那父)が「君の旅はラッキーだねぇ!いいことあるよ!」と。ウルギーを旅していて、滞在先で妊婦さんが出産(病院に行く)のに遭遇するのは実はこれで3回目!新しい命の誕生を一緒に喜べるって、なんか嬉しい。
写真は滞在先のお父さん(マヤちゃん旦那父)と、彼の孫(今回、この子の妹が産まれた)。
病院の方の様子は気になるものの、おかーちゃんが戻って来るまでは手仕事について特に何も質問もできない。
けれども、とにかく私たちはそこのお宅の手仕事ものを見せていただくことに・・・。
まだ夏営地に移動する前ということもあり、わざわざ倉庫から色々出してくれました。防砂壁に、織り紐・・・きっと天幕住居(キーズ・ウイ)の中はすごく賑やかに飾られるんだろうなぁと想像がつく。
家の周りもうろうろしていると、家畜小屋以外に小さな小屋が・・・
なんだろ?
なんと、その小屋はウマの蹄鉄を作る部屋でした。カザフ人は馬の蹄に蹄鉄をつけます。特に、秋以降は全ての馬の蹄につけるんだそうです。冬は雪が積もるので、馬が雪を掘って雪の下の草を食べやすくなるようにと、準備するのです。
「昔はこの家にたくさん馬がいたの。今は馬はいなくなってしまったけど、今でも蹄鉄は作っているよ~。」
なるほど?だから小屋が大きいのかな?
でもなんで、家畜が少なくなっちゃったんだろう。
他に何があるかな~とうろうろしていると、台所近くの天井をみてびっくり。
穴が空いた骨だらけ!
なんだ?なんだ?なんでこんなに骨を溜めてるの??
こんなの他の地域でみたことない・・・。
すると、そこの家のおじいさん(83歳!)が、骨にまつわるこんなお話を教えてくれました。
「むかし、あるところで、ある男が狩りに行くときに、奥さんが骨を40本袋にいれてその男に持たせた。
男はその袋の中身を知らされなかった。男は、狩りを終えて戻る途中で、その袋をあけてみた。
”なんだ?この骨は?”と、その骨の意味がよくわからなかった男は、そのままその骨を捨ててしまった。
その後男は、乞食に襲われ、服も、馬も、獲物も奪われ、ボロボロになり、やっとの思いで家に戻った。
奥さんは”あの骨を捨てなければ、お前の後ろに40人の人が見えて、お前はその乞食に襲われることはなかっただろう・・・"といった。
その後、人々は骨を尊重し集めるようになり、たくさん溜まったら山の綺麗なところ(人が踏み入れないようなところ)に持って行って、骨を置くようになった。」
だそうな。
骨はお守り?それにしても、この「40」という数字。40という数字は、カザフ人にとって「たくさん」を意味する数字だということはきいていたけど、40かぁ・・・。
このお話し、この地域に伝わるお話しなのか、カザフのお話なのか、よくわからず。
今度他のところに行ったときにきいてみようっと・・・。
夕方になると、お母さんが戻って来た。
どうやら、赤ちゃんは無事に産まれたとのこと。よかった~!
赤ちゃんは明日帰って来るときいて、みんな一安心。
「色々私に手仕事のことを質問しにきたんでしょう?悪かったね、明日は色々見せてあげるから」
すかさず、布がみたい!とリクエスト。
ということで、この家のお母さんが作った布をみせてもらうことになりました。
続く。