バヤンウルギー県はモンゴル国の最西端に位置し、南は中国•新疆ウイグル自治区、北はロシア•アルタイ共和国と国境を接しています。西は、カザフスタンと近接しています。バヤンウルギー県の面積は、45.7万平方キロメートルです。県の標高は1301~4374mと場所によってかなり差がみられます。県の95.3%が標高1600m以上であり、全体的に非常に高いところに位置しています。県全体がアルタイ山脈の中にあると言えるほど、あちらこちらに万年雪や氷河に山頂を覆われた山々が見えます。

 


バヤンルギー県の年間平均降水量は102.6mmととても低く、非常に乾燥しています。しかしバヤンウルギー県は、空気が乾燥している一方で、沢山の水資源を有しているという不思議な環境にあります。これは、アルタイ山脈山中の環境と密接に関係しています。



まず、アルタイ山脈山中の年間平均降水量は400~500mmと、県の降水量と比べて非常に多い状況にあります。また、アルタイ山脈山中では、土地が乾燥していて硬い、山に木が非常に少ない、岩山が多いなど、様々な条件が重なって、降った雨や雪解け水はすぐに流れだしてしまいます。こうして流れ出した水が各地で川を作り、低いところには湖を作るのです。バヤンウルギーの土地では、非常に澄んだ美しい川、湖が見ることができます。


しかし、こうした湖の外側には、乾いた荒野が続いています。つまり、草は湖岸のわずかな部分に生えるのみで、草地は非常に限られた場所にしか出来ないということです。谷間のわずかに低くなっている部分だけがうっすらと緑になり、その周囲は荒野という景観がほとんどです。「ハンガイ(森林に近い、山間草原)地域みたいなゴビ(丈の低い草の生える乾燥草原)地域」というような自然環境にあります。


【参考】
西村幹也(2011)「モンゴルのカザフ人」日本とモンゴル第46巻第一号(123号)pp25-pp37


《バヤンウルギーという土地:文責》カザフ情報局ケステ管理人 廣田千恵子