一般的に、都市部•草原地域を問わず、カザフの人々は2つの住居を有しています。夏期(5〜9月頃)は、「ウイ」と呼ばれる移動式住居で生活します。冬期(10〜4月頃)は、固定家屋で生活します。


 

 

★ウイについて
 

「ウイ」は、モンゴル草原地域で見られる移動式住居「ゲル」と外見的にも構造的にも非常に良く似ています。ウイの形状はほぼ円錐形で、外部はフェルトや防水用の分厚い布で覆われています。床から天窓までの高さはおよそ4mあります。


モンゴルのゲルとカザフのウイの大きな違いとしては、ウイの中心には柱がないということ、ウイの天窓と壁を繋ぐ梁(屋根棒)が細長くて軽いということ、そしてその梁の下部が折れ曲がっていることなどが挙げられます。

梁の下部が折れ曲がっているため、梁と壁が垂直になり、縛って固定します。このため、壁と梁の曲がった部分でウイの天井は高くなり、モンゴルのゲルと比べて内部空間が非常に広く感じられるのです。

 ベッドや洗面台など、生活に必要なものは全て揃っています。壁側に置かれます。
 


 


 


★冬期用固定家屋


冬期の最も寒さが厳しい頃には、気温は氷点下40℃から50℃にも達します。人々は、ウイから固定家屋へと生活の場を移します。なぜなら、バヤンウルギーは山岳地帯であるがゆえに、冬は雪が厚く降り積もってしまい、細い梁では雪の重さに耐えられないのです。冬の家は平屋構造になっていて、室内は防寒対策がしっかりなされています。


【参考】
西村幹也(2004)「ウルギー!カザフ!万年雪を仰ぎ暮らす人々を訪ねてその2」しゃがぁvol40, pp15


《カザフ人の住居:文責》カザフ情報局ケステ管理人 廣田千恵子