サグサイ村に滞在してたときのはなし。
ある日、マナイ家の隣のウイ(カザフ人の移動式住居)にお邪魔して、
そこのうちの子ども達と遊んでいました。
若奥さんはそのとき、せっせせっせと、
バオルサック(茶と一緒に出される乾物)を作っていました。
若旦那さんはというと、家畜の様子見から戻ってきて
ぼぉーっと、TVをみてました。
すると、旦那さんはTVを消して、
ふっと壁にかけてあった楽器を手に持ち、
静かに、歌い始めました。
この楽器、「ドンブラ」と呼ばれるカザフの民族楽器のひとつです。
二本の弦を弾いて音を出す楽器で、
とても軽やかで、でも心に響き渡るような、
そんなメロディーを奏でます。
旦那さんは、決して特別歌がうまいというわけではないけれど、
好きなカザフの曲を、1曲、2曲...と歌っていきました。
一方、奥さんはというと、
せっせせっせと、バオルサックのための生地をこねながらも、
ちらちらっと旦那さんの方をみつつ、
旦那さんのドンブラにあわせて、歌い始めました。
ウイというひとつの空間の中で、夫婦がなんとなく、
ぽつりぽつりと歌ってる感じが、
なんだか微笑ましくて、うまく表現できないけど、
なんか、いいなぁって。
ふたりの息もいい感じにあってて^^
とっても穏やかな時間が流れてました。
と。途中で子どもが、「僕もー!」と乱入。笑
小さな演奏家は、小さすぎてまだ何も弾けないけど、
いつかかっこいい草原のドンブラ弾きになるかも?!笑
特別に作られた音楽ではなく、
日常生活の中で、ただそこに在りそこで生まれた音。
いつでも、どこでも、なんとなく、音を奏でて、歌い、楽しむ人々。
こういう音この空間の中で聞けるって、
ある意味すっごい贅沢なんじゃないか?
と思ったりもして。
ドンブラの音きいていると、とっても心地いいです。