先日、大学院の定例研究会で発表しました。
発表の出来は・・・相変わらず・・・自分の中ではあんまり納得いかず。
発表の出来は・・・相変わらず・・・自分の中ではあんまり納得いかず。
いや、発表で納得いったことなんてないのですが。
毎回、色んな発見や気づきの連続です。人に何かを伝えようとするのは本当に難しい。
それはまぁどうでもいいんですけど・・・
カザフの装飾や文様の話をしていると必ず言われるのが「○○の文様に似ているね」ってことです。
でも今回はそれに加えて、「実際のところ、何がカザフ文様なの?」と聞かれたのです。
この質問には・・・うまく答えが出せませんでした。
確かに、アイヌや他地域の北方民族、中央アジアの民族の文様と似てるんです。
曲線とか渦巻きとか、左右対称で表されてるところとか・・・
やはり大きな流れとして繫がっているところはあるのでしょう。
ですが、似てるんですけど・・・何か微妙に異なっているんです・・・
「カザフでよく見られる文様」らしい何か。
似てる文様を並べて、ただ似ていると指摘するは簡単です。
でも、他の民族のものに似てるけど、これは明らかにカザフのものっていう部分を明確に見分けるのは、かなり難しいことです。それは、よほど深くカザフに通じ、カザフを知り、カザフを見ていないと答えられないことです。
実はウルギーにいた頃に、彼らの目にはカザフ文様ってどのように認識されているんだろうって気になって、アンケートを取ったことがあります。
そのときのアンケートでは、ヨーロッパや中央アジア、東南アジア、日本、モンゴルなど色んな地域の文様を混ぜて、計50枚の写真を1枚ずつ見せて、それがカザフ文様かどうかと質問してみました。カザフの文様はカザフの文様集という本からピックアップしたり、刺繍布の写真の一部を使いました。
驚いたことに、日頃からいつもカザフ文様に触れているはずの彼らでも、いざ他の地域の曲線の文様を混ぜてみると、「これはカザフだ!」っていうんです。
アイヌもモンゴルも、特に意識せず、これもカザフだあれもカザフだ・・・
曲線で表しているものなら、なんでもカザフになりえるのかな?
でも中には、ちゃんと「カザフの文様」がわかってカザフの文様だけを指摘した人がいました。
それは私に刺繍を教えてくれた、アイナグルという人でした。
アイナは、「似てる」とは言ったものの、「この部分が違う」とか「こういう曲がり方はない」とか、きちんと説明してくれました。
カザフの文様は、いくつかの細かい文様が合体して一つの文様を構成しています。例えば、オスヒツジの角、去勢ヒツジの頭、数頭のヒツジの角が繫がっている様子、鳥の頭、ラクダの足跡などなど。そういういくつかの種類のパーツを組み合わせてひとつの大きな文様となっています。アイナグルはちゃんとパーツの一つ一つがわかっていたのでした。
また、カザフ文様は、使うものによって使い分けられているということも教えてくれました。昔から使われているのは絨毯に使う文様。これが古くから伝わるカザフ文様であると。そして、刺繍布の文様は絨毯の文様とは異なり、アレンジがたくさんしてあるとか、時代によって変化が見られるとか、そういう細かい話を彼女は私にたくさんしてくれました。
それでも、パッとすぐにカザフの文様はこうだ!っと答えられないのは私の勉強不足ですが・・・。
アイナグルもその特徴を一言でいうのは難しいと言ってました。
アイナグルもその特徴を一言でいうのは難しいと言ってました。
でも、組み合わせられた文様には、カザフ文様を特徴づけている何かがあるわけで・・・それがなんなのか、今後もじっくり観察していきたいと思います。文様のそれぞれのパーツについては、また別の機会に。