バヤンウルギーより
新年あけましておめでとうございます!
今年も”ケステ”でカザフ文化に関する色んな話を紹介できるように、がんばります。
今後とも、何卒よろしくお願い致します。
***
いま私はモンゴル国の一番西に位置するバヤンウルギーというところに住んでいます。そこに住む多くは「カザフ」と呼ばれる人々であり、私は「モンゴル」に居ながら毎日「カザフ文化」に接して暮らしています。今回は、そのカザフ人達との生活の中で普段どんなものを食べているのか、カザフの家庭料理について、書きたいと思います。
もともと「遊牧民」であり「遊牧文化」をもつカザフの人々は、『朝昼は軽く済ませ、夜しっかり食べる』という風な食事スタイルをもちます。常に家畜と接する牧民さんたちにとって、朝昼は最も忙しい時間帯であり、ゆっくりご飯炊いておかず作って....とはいかないのです。県央での定住生活を送っている人々も、やはり朝昼は軽くお茶で済ませ、夜がっつり食べるスタイルをとっています。
もう少し具体的に。
朝昼はどんなものを食べているのかというと、まず第一に「お茶(アクチャイと呼ばれる塩入りミルクティー)」、これが最も重要です。そして、次に欠かせないものが、「バオルサック」と呼ばれる”小さな揚げパン”です。
作り方は、簡単といえば簡単。まず、小麦粉に水とイースト菌を混ぜてしっかり練り、しばらく放置します。
しばらく寝かせた後、生地を薄くのばし、長四角の形にきりわけていきます。
あとは、油の中に入れて、こんがりきつね色になるまで焼くのみ。
できあがり!
最初できたてのバオルサックは外はサクサク中はもちもちしてて本当においしい。ただし、普段はそんなに柔らかくないです、むしろ固いです。それは、一度に大量につくり、数日間その作り置きを食べるからです。固いバオルサックは、お茶の中にぽいぽいっと入れてふにゃふにゃ柔らかくしてから食べます。
「このバオルサックが作れなきゃカザフの嫁にはなれん!」ってくらい、非常に重要な食べ物です。作り方は簡単だけど、みんなバオルサックに対するこだわりが強くてまずいバオルサックは絶対食べない。カザフスタンのTV放送を見ていると、中にヨーグルトを入れたバオルサックなど、色々と創作バオルサックが紹介されることもあります。結構、おいしそうだけど、あんまうちの人はそういうことしない。
朝昼は基本的にこのバオルサックとミルクティーがメインになります。他にも、ジェントと呼ばれる炒った小麦粉や、夏に作って保存しておいた乳製品が一緒に出されます。
ちなみに、バオルサックを作っている時間がないときは、発酵させずにそのまま揚げてしまうことも。これは、チェルペックと呼ばれます。チェルペックは、切り分けるときに必ずトントンと表面に切れ目をいれます。出来上がりは、サクサクしているけどバオルサックのようなしっかりとした食感はなく。カザフ人も、そんなに好んで食べません。
夜はどんなご飯を食べるのかというと?
今お世話になっている家でよく出される料理を紹介します。
①クジェ
圧倒的に多いのが、このクジェ。細い麺入りのスープです。味つけは肉の煮込み汁と塩で非常にあっさりしています。小さく切った羊肉とじゃがいも、にんじん、キャベツなどが入れられます。ちょっと失礼な話しかもしれませんが、正直、はじめてこの家にきたとき、ほぼ毎日こればっかり出されて若干物足りなさを感じてたけど、今ではクジェが大好きになりました。さっぱりした味付けにとってもはまりました。寒い日に食べるとなお美味しい。(ちなみにここ3日間連続でクジェでした。我が家はクジェ率高い^^)
ちなみに、麺も基本的には自分でつくります。
小麦粉をねって、薄くのばし、のばしたものを適当な大きさに切って焼きを入れ、薄切りします。この薄切りがなかなかの重労働。カザフの女の子達、非常に素早く切っていきます。お見事!
②コールダック
コールダックと呼ばれる羊肉入り蒸し麺です。お客様がきたときなど、よく出される料理のひとつです。クジェと同様、麺をつくって、肉と野菜と一緒に蒸します。モンゴル料理の「ツォイワン」と非常によく似ていると思います。
そのほか、米が炊かれることもあるし(米”だけ”って日もある)、モンゴル料理「ボーズ」が出されることもあります。クジェが出されるときは、クジェの前に肉が皿にばーんと盛られて出されます。
と、一日の食事はこんな感じです。さて、今夜のご飯はなんだろう?^^