衣食住 (9)
ウルギーに住んでいて、実は気になって仕方が無かったもの。それは。。。
カザフの女性が頭に巻いているこの「スカーフ」です。カザフ語で、チュト(шыт)と呼ばれます。宗教による習慣なのでしょうか、カザフ人としての習慣なのでしょうか。こちらの女性は結婚すると頭にスカーフを巻きます。そのスカーフの綺麗なこと。
モンゴルの方でも、田舎では巻いている人もいますが、ウランバートルでは全くと言っていいほど目にする事はありません。それに比べて、カザフの場合は田舎だけではなく、町中でも頭にスカーフを巻いている女性をよく目にします。
カザフ女性が用いているこのスカーフ、サイズは80cm×80cm〜100cm×100cmなどやや大きめがよく使われているようです。日本のお店などでこのサイズを探しても、なかなか見つからないのです。でも頭に巻くにはこれくらいの大きさがないと、いまいちだったり。素材は綿やウールがほとんどです。中にはシルクのスカーフも見られます。柄は色鮮やかな花柄が多いのですが、中にはこんなものも。
き、きのこ柄!むぅ。かわいい.....。
スカーフは、婚資のひとつとして、家同士交換されるものに含まれていることもあります。綺麗なスカーフを贈られたときは、みなさんとっても嬉しそうです。現在、ウルギーで見られるスカーフは、中国やトルコ、カザフスタンから入ってくる物が主なようです。トルコは元々スカーフを巻く習慣があるせいか、トルコから入ってくるスカーフは色鮮やかでデザインが綺麗なものが多く、カザフの女性たちも好んで使用しているようです。社会主義時代はどこから入っていたのかな、カザフスタンや新疆の人達もこういうスタイルなのかなとか、カザフ女性のスカーフ使いの在り方や歴史にも色々興味がわいています。
日本でスカーフというと、首に巻くとか鞄に結びつけて飾るとか。こちらのように頭に巻く事は滅多にないのですが、彼女達をみていて無性に巻きたくなってしまった自分。思い切って巻いてみました。未婚だけど巻いて怒られないかな。。。と、最初はちょっとドキドキビクビクしてたのですが、特に家の人にはつっこまれなかったので、思い切ってそのまま街に出てみる事に!街で会った友人達には、「おお!いつからカザフのおばちゃんになったの?!」なんて言われてしまいました。笑
春は砂埃がひどく、秋冬は頭が冷えて寒くなるここウルギーでは、かなり便利なアイテムです。
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衣食住
最近、連続でカザフの「食」文化について、書いています。自分も、今現在見ている途中なので、文章でなかなかうまく伝えきれない部分も多いのですが、おつきあい頂ければ幸いです。(ご質問などありましたら、コメント欄から是非お寄せください。)
***
ここバヤンウルギーに住むようになってからよく思う事があります。
それは、『肉がおいしい』ってことです。
ここでは、日本のスーパーでよく見ていたような「パッキングされて並べられたお肉」を見ません。そのかわり、「屠殺した羊の胃袋や馬の腸の中に詰められた肉のかたまり」や「がちがちに凍ってる巨大な肉のかたまりや骨付き肉」をよく目にします。【肉】ひとつをとってみても、彼等と私の感覚はまるで違っていると感じることが多々あります。命との距離がまるで違うとも感じます。
それは、11月上旬のある日のことでした。
突然、家の人達がバタバタと忙しなく動き始め、夕方にもかかわらず親戚達を家に呼び始めたのです。一体何が始まるんだろう?と、家の外に出てみると、家の敷地内に馬1頭と牛2頭、羊ヤギ8頭がうろうろしてて......びっくりしたぁ。笑
「これから、ソガムを屠るのよ!」
”ソガム”とはカザフ語で、訳せば「冬の食糧」という意味です。ここの人々が食べる肉の量は、本当に半端なく、スーパーや市場でちょっと買えば足りる、なんてものではないのです。そして、自分たちが食べる食糧は自分たちで屠る。本格的な冬になる前に、必ず行わなければならないことなのです。
家畜が到着したのが夕方5時すぎ、親戚一同が集まったのが夜7時頃。もう辺りも真っ暗になったこの時間から、馬と牛の屠殺がはじまりました。
(*以下、屠ったときに撮影した写真が含まれています。)
馬の足を縛り、お祈りを捧げたあと、大人男性5-6人がかりで馬を押し倒し、馬の頸動脈を一気にかっ切りました。血を出し切り、馬が動かなくなったころ、馬をガレージに運び、馬を地面に仰向け(四肢が上を向いている状態)にして皮をはぐ作業をはじめました。
皮を剥ぎ終わったあと、今度はお腹にナイフをいれて内蔵を出しました。ものすごく長い腸....女性たちが内蔵を綺麗にする作業をはじめます。男性達は、肉を骨、筋にそってきりわけはじめます。見ているだけでは、なかなかわからないのですが、これは相当な重労働です。(ちなみに、この後続けて牛も屠殺しました。)
気がつけば、床一面真っ赤な血の色。斧で骨と肉塊を叩く音。そして、屠ったとき特有のあの匂い。なにもかもが強烈でした。。。
大型家畜の屠殺が終ったのが夜10時。そのあとガレージの後片付けをして夜11時。寒さと重労働の中、もうへろへろになって、今夜はぐっすり眠れそうだなぁと、ぼんやり思っていたその時、「あれ、そういえばまだ親戚達が帰ってない?」と、リビングで人々が何かの作業をしていることに気がつきました。
リビングに入ってみると、びっくり。さっき解体した馬のあばら骨の肉を、馬の腸につめる作業をしていたのです。この時、時間は夜中の12時をまわっていました。
このあばら骨の腸詰めを、「カズ」と呼びます。塩をしっかりふって揉み込んだあばら骨肉の腸詰め。塩味がきいていて、めちゃくちゃ美味しいんですが、こうやって作ってたとは、知らなかった.......。(ちなみに上の写真は、作ったカズを子ども達の寝室で乾燥させてるところ.....。)
腸詰め作業は夜な夜な続き、片付けを含めて夜中の3時に全ての作業を終らせる事ができました。もうめっちゃしんどかった.....。秋になると、みんな毎年、こんなキツいことしてるんだなぁ。しかも、自分の家の分じゃなくても、手伝わなきゃいけないのかぁ。
(ちなみに、いつか別の時にしっかり書こうと思うのですが、カザフ人の偉いところは、こんな夜中にへろへろになった状態でも、家の片付けを抜かり無くきっちりやることだと思いました。それこそ、今やらなくても明日の朝やればいいじゃんって思うくらい、きっちり。そして、こんな夜中でも、茶を飲んで寝る。これ、超大事。)
そして、この屠殺は、次の日に第二ラウンドに入る....。今度は、羊とヤギの屠殺です。1頭に約1時間。片付け含めて9時間ちょいかかりました。めっちゃ寒いし、重い水いっぱい運ぶし、睡眠時間も全然ないし、ご飯も満足に食べずに作業してて目もまわってたし、本当に本当にきつかった。
でも、これがここでの「食べる」ってことなんだなと、感じました。どんなに大変でも、これをしないと、何も食べられない。ここでは、これが当たり前のことで、私が今まで生まれ育ってきたところの食文化とはまるで違う。肉の味も違うわけです。この日にみたことがきっかけとなって、カザフの食文化や自分自身のもつ食文化に興味を持てるようになりました。本当に、いい経験をさせてもらいました...。
それから数ヶ月後(最近)、「カズ(あばら骨付き肉の腸詰め)」を食べました。あの時のあの「カズ」。.....うーん、おいしい。すごく、おいしい。
***
カザフの食文化についての紹介は、ひとまず、おしまいです。また、もっとしっかり観察してから、書きたいなと思っています。
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バヤンウルギーより
新年あけましておめでとうございます!
今年も”ケステ”でカザフ文化に関する色んな話を紹介できるように、がんばります。
今後とも、何卒よろしくお願い致します。
***
いま私はモンゴル国の一番西に位置するバヤンウルギーというところに住んでいます。そこに住む多くは「カザフ」と呼ばれる人々であり、私は「モンゴル」に居ながら毎日「カザフ文化」に接して暮らしています。今回は、そのカザフ人達との生活の中で普段どんなものを食べているのか、カザフの家庭料理について、書きたいと思います。
もともと「遊牧民」であり「遊牧文化」をもつカザフの人々は、『朝昼は軽く済ませ、夜しっかり食べる』という風な食事スタイルをもちます。常に家畜と接する牧民さんたちにとって、朝昼は最も忙しい時間帯であり、ゆっくりご飯炊いておかず作って....とはいかないのです。県央での定住生活を送っている人々も、やはり朝昼は軽くお茶で済ませ、夜がっつり食べるスタイルをとっています。
もう少し具体的に。
朝昼はどんなものを食べているのかというと、まず第一に「お茶(アクチャイと呼ばれる塩入りミルクティー)」、これが最も重要です。そして、次に欠かせないものが、「バオルサック」と呼ばれる”小さな揚げパン”です。
作り方は、簡単といえば簡単。まず、小麦粉に水とイースト菌を混ぜてしっかり練り、しばらく放置します。
しばらく寝かせた後、生地を薄くのばし、長四角の形にきりわけていきます。
あとは、油の中に入れて、こんがりきつね色になるまで焼くのみ。
できあがり!
最初できたてのバオルサックは外はサクサク中はもちもちしてて本当においしい。ただし、普段はそんなに柔らかくないです、むしろ固いです。それは、一度に大量につくり、数日間その作り置きを食べるからです。固いバオルサックは、お茶の中にぽいぽいっと入れてふにゃふにゃ柔らかくしてから食べます。
「このバオルサックが作れなきゃカザフの嫁にはなれん!」ってくらい、非常に重要な食べ物です。作り方は簡単だけど、みんなバオルサックに対するこだわりが強くてまずいバオルサックは絶対食べない。カザフスタンのTV放送を見ていると、中にヨーグルトを入れたバオルサックなど、色々と創作バオルサックが紹介されることもあります。結構、おいしそうだけど、あんまうちの人はそういうことしない。
朝昼は基本的にこのバオルサックとミルクティーがメインになります。他にも、ジェントと呼ばれる炒った小麦粉や、夏に作って保存しておいた乳製品が一緒に出されます。
ちなみに、バオルサックを作っている時間がないときは、発酵させずにそのまま揚げてしまうことも。これは、チェルペックと呼ばれます。チェルペックは、切り分けるときに必ずトントンと表面に切れ目をいれます。出来上がりは、サクサクしているけどバオルサックのようなしっかりとした食感はなく。カザフ人も、そんなに好んで食べません。
夜はどんなご飯を食べるのかというと?
今お世話になっている家でよく出される料理を紹介します。
①クジェ
圧倒的に多いのが、このクジェ。細い麺入りのスープです。味つけは肉の煮込み汁と塩で非常にあっさりしています。小さく切った羊肉とじゃがいも、にんじん、キャベツなどが入れられます。ちょっと失礼な話しかもしれませんが、正直、はじめてこの家にきたとき、ほぼ毎日こればっかり出されて若干物足りなさを感じてたけど、今ではクジェが大好きになりました。さっぱりした味付けにとってもはまりました。寒い日に食べるとなお美味しい。(ちなみにここ3日間連続でクジェでした。我が家はクジェ率高い^^)
ちなみに、麺も基本的には自分でつくります。
小麦粉をねって、薄くのばし、のばしたものを適当な大きさに切って焼きを入れ、薄切りします。この薄切りがなかなかの重労働。カザフの女の子達、非常に素早く切っていきます。お見事!
②コールダック
コールダックと呼ばれる羊肉入り蒸し麺です。お客様がきたときなど、よく出される料理のひとつです。クジェと同様、麺をつくって、肉と野菜と一緒に蒸します。モンゴル料理の「ツォイワン」と非常によく似ていると思います。
そのほか、米が炊かれることもあるし(米”だけ”って日もある)、モンゴル料理「ボーズ」が出されることもあります。クジェが出されるときは、クジェの前に肉が皿にばーんと盛られて出されます。
と、一日の食事はこんな感じです。さて、今夜のご飯はなんだろう?^^
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衣食住
前回の記事で、小型家畜(羊&ヤギ)の屠殺の方法と、その後の内蔵処理について、ご紹介したのですが、今回はその続き。その屠った家畜の肉や内蔵をどのようにして食べるのか、ということを紹介したいと思います。
まず、家畜を屠ったそのときにしか食べる事ができないものを。
これです。
マイバオルと呼ばれる肝臓と脂肪の炒めものです。じゃがいもを一緒に混ぜて炒めたりもします。家畜を屠殺したときにしか食べられない”ごちそう”です。油たっぷりで、ちょっとぎとぎとしているけど、にんにくとパンと一緒に食べるとなかなか美味しい。
ほか、内蔵ものと言えば、肺臓を細かく切って脂肪と一緒に炒めたものなど。
こちらも、マイバオルのように柔らかくてあまり臭みもないので食べやすいです。食感がちょっと独特。
または、こんなものも。
これは、ボーズと呼ばれるモンゴル料理の一つで、イメージとしては小龍包のような食べ物です。蒸して作ります。この皮の中に、肺臓その他内蔵を細かく切って詰め込みます。内蔵ボーズ。うーん、おいしい。おいしいんだけど、個人的にはやっぱり肉が入ってる方が.....。笑
そのほか、脂肪や肉をつめた胃袋&大腸&直腸などは、肉のもりもり盛り合わせと一緒に出されます。
どれも非常においしい。特に脂肪はとろっとまろやかで食べやすいです。上にも書きましたが、臭みがあまりないので、「内蔵を食べている」とそれほど感じる事無く食べる事ができます。
親戚を呼んでのお茶会が開かれた時や特別なお祝い事の際には、家畜(羊)をまるまる一頭屠り、大きな大きな肉のかたまりと内蔵が、大きな皿いっぱいに盛られて出されるのです!
家に特別なお客様が来た時に出されるこの肉料理を、ベスバルマックと呼びます。
肉の上に乗せられているのは、チェルペックと呼ばれるものです。小麦粉をねって薄くのばして、ゆでて食べます。カザフの人々は肉といっしょに、ご飯を食べるでもなく麺を食べるのでもなく、このチェルペックを食べるのです。みんなで手を使って食べます。
特におもてなしすべきお客様が来たときは、”頭”も一緒に出されます。
ちなみに、頭部についている2つの目玉は、必ず1人で食べないといけないという決まりがあります。他にも、「食べ方のルール」がいくつかあります。例えば、このように頭が出されたときは、必ずまずはじめに頭の部分を皆でわけてから、肉を食べ始めます。「それは、なぜ?」という疑問には、今はお答えできません。というか、カザフ人達も、特にその理由はわからないようです。
ほか、耳も食べるし、脳みそや、骨の中の随まで食べます。が、私はその辺ちょっと怖くてまだ食べてません。いつか、挑戦してみようかな....。みんなとっても美味しそうに食べています。
↑中央に写っているのが耳の部分。柔らかくておいしいっていうんだけど、なんかまだ抵抗が....。
しっかり煮込まれたお肉達。当然、煮込みの際、肉エキスが出るわけで.....
ソルパと呼ばれる出汁は本当に本当に美味しい。ちょっと油っぽいけど、わずかな塩味がとても飲みやすいのです。ビタミンたっぷりだよ!と、よく勧められます。ただし、飲み過ぎには注意...。
とはいえ、いつもいつも、こんな肉の盛り合わせや内蔵料理ばっかり食べているわけではないです。
普段の食生活で食べているものは、どんなものなのかといいますと、それは、また、次回。
***
気がつけば年末...。ここウルギーは、あんまり「新年」を祝う雰囲気ではなく、なんとなーく新しい年を迎えそうな感じです。なぜかクリスマスツリーがお正月に飾られ、サンタが子どもにプレゼントを贈るべくうろうろしている今日この頃です。ではでは、よいお年を。
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今回から、少しずつ、カザフの食生活について、書いていきたいと思います。
カザフ人(カザフ牧民)たちの食のサイクルは、夏季と冬季に大きくわけて考える事ができると思います。サイクルについて、もう少し詳しく言いますと、秋、少し寒くなってきた頃から家畜を屠りはじめ(小型家畜の屠殺の開始)、冬に入る手前で冬からの食料を準備し(大型家畜の屠殺および小型家畜の一定量の屠殺)、冬はその家畜の肉を食べ、春から夏にかけて母家畜の乳の出る量が増えてくると少しずつ乳製品作りをはじめ、夏は乳製品メインの食事に切り替えていく、というサイクルです。夏に乳製品については、すでにblogである程度ご紹介したので、この冬は屠殺の習慣/方法/肉の調理方法を中心に、また普段どのようなものを食べているのか(小麦粉や米を使った料理など)、ということを紹介します。
今回は、小型家畜の屠殺方法と内蔵の処理方法について、少しご紹介します。
今回屠殺の際に撮った過程の写真を載せていますが、一部ちょっとショッキングな写真もあるかも?です。みてびっくりされちゃう前に、書いておきます。
まず、これはとても大事なことなのですが、カザフ人は血を食べません。宗教的に血は不浄なものであると考えられており、そのため家畜を屠る際には、まず首の頸動脈を一気にかっ切って血を出します。屠殺をはじめる前に、必ずコーランの一部を読みます。
↑ばーっと一気に血を出す。血は地面には流さない。
しっかり血を出したあと、お腹の部分の皮をナイフで切り、全体の皮をはぐ作業に移ります。四肢の部分の皮は、関節を外してから剥いでいきます。
皮を剥ぎ終わったら、頭を切り落とし、食道を結んで、吊るします。うしろ足の筋の部分に穴をあけて、そこに紐をとおしてぶらーんと吊るします。吊るしたら、お腹の部分を切って、心臓と肺臓以外の内蔵(胃腸の部分)を出します。
ここからの作業は、男性&女性の二組共同作業。男性は、そのまま肉を細かく骨&筋に沿って切り落としていきます。首周りの肉と頸骨をそぎおとし、胸回りの肉をおとし、胸骨をおとし、腰骨をおとし、おしり、足となり.....
↑あれよあれよという間にこんな感じに。
男性が肉を切り分けていく間に、女性は内蔵をキレイにしていきます。
胃や腸の中に残ってしまったモノを水やお湯でしっかりと洗い流します。とても大量の水を使ってとことん洗います。特に食べる部分は、塩を揉み込み、念入りに洗います。胃の中に脂肪を詰めたりもしてました。この脂肪、とろんとしててまろやかで、とても美味しいんです。また、直腸にも、キレイに洗ってから肉を詰めたり脂肪をつめて食します。
↑胃&反芻胃を洗浄しているところ。
↑しっかり水で洗って、塩を揉み込んで....
↑こんな感じになる。
食べない部分は、単に捨てるのではなく、利用できる部分は利用し、捨てる部分は犬にあげてました。(ちなみに、固まった血も犬に与えていました。)「利用」とは例えば、反芻胃は、中をキレイにした後で、保存用の肉や乳製品を詰めたりするのに利用します。大腸は、食べるようにもとって置きますが、それ以外にも、乾燥させて後で油として利用したりします。また、小腸は、キレイに洗ったあと、市場に売りにいきます。
↑ながーい小腸。これは食べない。市場に売りにいく。
内蔵まわりについていた脂肪は、ひとつ残さず全て丁寧に集めます。それはそれは、ものすごく念入りに集めます。この脂肪は、後に細かくされ火にかけられ油としてご飯(特にバオルサックと呼ばれる揚げパンのようなもの)を作る時に用いられます。
↑集めた脂肪はしばらく放置して乾燥させたあと、細かくする作業に。これがなかなかの重労働。
ちなみに、切り落とした頭はといいますと......
焼きます!しっかり焼いてから切れ目をいれ、まっぷたつにして、しっかり煮て食べます。
このようにして、屠殺された羊(ヤギ)ですが、一体どんな風に食べられるのか。
次回は、肉や内蔵の食べ方について、少しご紹介したいと思います。
続く!
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またまた10月、サグサイでの出来事のこと。
前回のblog記事で、草原の四季の変化を感じるものについていろいろと書きましたが、もうひとつ、今回「ああ、冬が来るなぁ」と感じさせられたものがあります。それは、「家(ウイ)」です。
↑解体作業中のウイ。朝起きて外出たら隣の家がこんな状態に!
↑ゴチ(大型トラック)に乗せて出発!
この上の写真の車を覚えていらっしゃいますか?これ、夏にも一度blogで書いたものなのですが、ゴチと呼ばれる巨大なトラックです。主に牧民さんのお引っ越しのときに使用されるものですが、これが見られるということは.....そうです、冬営地へのお引っ越しが始まっていたのです。
↑フェルトを取り骨組み状態になったウイ
↑引っ越し作業中。みんなで荷物をまとめる。
↑引っ越し作業中の子ども達(4-5歳)まだまだ労働力になりきらず?
↑引っ越し作業中の子ども達(8-9歳)しっかり物運んで活躍中!
私がサグサイ入りしたのが10/14でしたが、次の日の15日には近くに住む3件のお引っ越しのお手伝いをしました。みんな一気に引っ越しです。
↑マナ家は引っ越しはしないけど、お手伝い。一件済んだら、また次の一件へ。
引っ越し先は、様々です。たいていの牧民さん達は、秋営地よりも暖かいところに冬営地を構えます。マナ家の近くの牧民さんは、「このサグサイの秋営地(プテオ)は寒いんだよ。冬は。風がすごくてねぇ。もっと山の方(ブケンタオ)が暖かいから、そっちに行くんだ。その方が、家畜にとってもいいでしょう?」と話してくれました。年配の方々は、自分たちの家畜を息子夫婦や親戚に預けて村の中心部や県の中心部に移動したりします。あるいは、引っ越しをせず、移動式住居(キーギズウイ)のみをたたんで、冬用の木造住居へ移る人達もいます。
↑こういう冬用の住居に住む人が多い。
モンゴルの人々が使用しているゲルと呼ばれる移動式住居は、冬でも暖かく冬期も使用されますが、カザフの人々が使用しているウイと呼ばれる移動式住居は、冬は使用されません。なぜなら、ウイとゲルは見た目は非常に良く似ていますが、ウイはゲルよりも背が高く、ウイは中がなかなか暖まりにくい構造になっているからです。カザフの人々は、スタックウイ(暖かい家)と呼ばれる木造平屋住宅を建てて冬はそこで過ごします。
それにしても.....
キーギズウイが見られなくなるのは、なんだか寂しいものです。ああ、冬がやってくるんだなぁと感じます。マナ家がある場所は、冬は特に寒くなるらしく、10月中に多くの家庭がお引っ越ししちゃいました。冬へのお引っ越し、ですね。
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聞いた話によると、東京はまだまだ暑さが厳しいとかなんとか。暦の上ではすっかり秋になったのに。。。あまり秋らしくない感じなのでしょうか?
こちらウルギーは、9月には涼しくなりちらちらと雪も降り始め、最近ではすっかり寒くなってきました。昨日はTVでも(カザフスタン放送)「そろそろ屠殺シーズン(冬の準備期間)到来ですね!」なんて報道されるほど。
日中日差しは温かいのですが、風が吹くとぐっと身にしみる寒さを感じます。先日のイヌワシ祭りのように、長い時間外にいると、あとにぞくぞく残るような寒さです。まさに、冬の一歩手前という感じで、朝晩は、すっかり息が白くなっています。寒くなってくると、自分に甘い私は、朝寝袋から出て起きるのがつらくなってきます。。。ぐう。笑
そんな秋冬シーズンの朝、起きて最初にする仕事と言えば、やはり火をつける事でしょう。
田舎の家庭でも町の家庭でも必ず見られるのが、これ。炉です。カザフ語でペシpeshiと呼んでいます。
とても便利な構造になっていて、上についている蓋は開けられるようになっており、大きさも3通りに調節できるようになっています。
鍋がすっぽりはまるように、丸くなっています。コンロのように、火の勢いを簡単に調節できるわけではないので、この開ける蓋を変える事によって温度調節をします。
グツグツコトコトとものを暖めるときは、蓋を完全に閉め、その上に鍋をのせます。やかんも沢山のせる事ができるし、乗せる場所によって温度を調節できるという。まぁ、本当に便利なんです。
さて、これ、一体何を入れて燃やしているかというと
石炭と乾燥した牛の糞です。
ある日、家に突然トラックがやってきて、大量の石炭と乾燥した牛の糞を運んできたときには、本当にびっくりしました。汗
↑倉庫の中にだいぶ押し込んだあとに撮った写真。最初もっとすごい量だった。。。
田舎では、厳冬期以外の時期にこつこつと毎日この乾燥した牛の糞を拾い集めて冬に備えます。ひとつひとつの乾燥糞はそんなに重くないのですが、ずた袋いっぱいにそれを積めると、非常に重たい。腰にぐっとくる重さです。それを抱えつつ、乾燥糞を拾う為にあちこち回ります。
この燃料の使い方としては、炉の口の方に乾燥した牛の糞を寄せて、そのうしろに石炭をのせます。
乾燥した牛の糞はよく燃え、また、熱が残るのか火が消えかかったときでもその燃えカスの上にさらに乾燥した牛の糞をのせ足すとすぐに火がつきます。とても便利です。
さて、こうして炉に火をつけると、暖まるのは炉の周りだけかというと、そんなことはないのです。ウルギー市の私がホームステイしている家の仕組みはこんな感じになっています。つまり。。。
↑炉の先っぽに管がついていて暖かい空気が上にのぼる
(さらに上には水をいれるタンクがある)
↑暖まった温水が部屋のあちこちに設置されている管を伝ってまわり、結果全室が暖まる。
おかげで、炉に火をつければ一気にぬくぬく出来るという寸法です!すばらしい!
勿論、火をつければ灰が出ます。ペシの下に溜まった灰は、こまめに掃除します。これがまた、ものすごく重い。。。。灰は、外に一カ所にまとめて置いて処分します。
こうして、一仕事終えてから、暖かいお茶を頂くのです。このお茶が、美味しいんだな。町はまだしも、田舎に行くと本当に寒くて寒くて、朝寒い中一番に起きて火をつけてくれるお母さんに心から感謝せずにはいられません。ありがとうございます。。。そして、火がついてから起きてごめんなさい。。。ううう。
モンゴルにいて、自分で火がつけられないっていうのは、本当に致命的なことです。日常生活でいえば、洗濯するときの水だって、髪の毛洗うときの水だって、自分で火をつけて暖めて使わないといけないし。厳冬期にはマイナス40℃以下にもなるこの環境下の中で、すぐに火をつけられなければ命に関わる事だってあります。
とか言って、自分はモンゴルに住んでるくせに、全然ぱぱっと火付けできないんですけど。。。同じ部屋に住んでるジャナル(19歳)にいつから火がつけられるようになったか聞いたら、「4歳だよ、4歳!」だって。うーん、すーぱー4歳児だな、日本に居たら。
うん、でも、修行しよう。。。せっかくウルギーにいるんだから。。。
朝のお仕事、これからがんばってみようと思います。
朝のお仕事、これからがんばってみようと思います。
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衣食住
私は日本で知人や友人からモンゴルのゲルについて質問されるとき、よく、「ああ、えーっと、なんだっけ、モンゴルの遊牧民の家.....あれ、ゲル?パオ?」と言われる事がありました。
私は中国語については全くわからないのですが、いわゆる遊牧民たちの移動式住居のことを、中国語で「包(パオ)」と表現されるようですね。なるほど、確かに、前回ご紹介したとおり、ウイを建てる時、フェルトやカバーで家全体をぐるぐるぐるぐると包み込むように巻いていく様子が印象に残ります。
↓こんな感じ
大きな部分に注目すれば、この「包む」行為というのは、ウイなどの移動式住居を建てる上で非常に重要な行為だと言えると思います。ですが、今回、サエハンボラクでカザフ人達と一緒にウイを建てていたとき、「包む」以外に、もうひとつ、ウイを建てる上で非常に重要な行為があると感じました。それは、「結ぶ」ことです。
どんなところをどんな風に結んでいたのか、ちょっと振り返ってみると。。。
まず扉や壁と壁同士を紐で結びつけて繋ぎあわせ
ぎゅ。
柱と天窓を結びつけ
天窓と壁を棒で繋ぎ合わせてから、その棒を壁に結びつけ
ぎゅぎゅ。
上や周りに巻き付けるカバーや布には紐がついていて、壁に結びつけることで固定し
ぎゅぎゅぎゅ。
内部に飾られる飾りも全て壁や上部の木製棒に結びつけることによって、飾られていきます。
ぎゅぎゅぎゅぎゅ。
ウイの外部や内部をみていると、
いろんなところにいろんな形で紐が交差している様子が見られます。
こんな感じに、釘をうつでも飾りを貼付けるでもなく、結ぶことによってウイは構成されていくわけです。で、この結ぶ際に使用されている「紐」は一体どんなものを使っているかというと。。。
一般的に、バザール(市場)で購入したというこんな紐があったり。
牛の毛と羊の毛を巻いてまいて作られたというこんな紐があったり。
ほかにも、壁の強度を高めるために、
壁となる木材の隙間をらくだの皮によって作られた紐で結びあわせてたり。
紐ひとつに注目してみてもなかなか奥深くて面白いわけです。
そして、そんなカザフウイの中で用いられている多くの紐たちの中でも、
最も私のハート射抜いたのは、これです!!!!!!!じゃーーーーーーーん!!!!
最も私のハート射抜いたのは、これです!!!!!!!じゃーーーーーーーん!!!!
なんだこのキレーな紐は!
これは、テェルメという手法によって作られた紐です!
テェルメは「織り」を意味する言葉です。これらの紐は、多くの糸と糸を織ることによって作られていきます。丈夫であるということで、壁を固定するときの紐(バスコル/オクパオ)として、あるいは、柱を固定するときの紐(ジェルバオ)などとして使われます。
織る際に、カザフ文様を浮かび上がらせていくので、飾り紐としても使用されます。とってもおしゃれですよね。さて、このテェルメ、一体どういう風に作られていくのでしょうか。実際、頭痛くなるような地道な作業の繰り返しなわけですが、次回はテェルメの作り方をご紹介したいと思います。続く!
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衣食住
話はアルタイ村、ババイ家に戻ります。
さて、ババイ家は、6月16日にお引っ越しをしました。
牧民さんは、季節の変化にあわせて年に数回、お引っ越しをします。
これは、家畜の健康状態や草の状態を考えての行為なのですね。
常に家畜のことを第一に考える彼等の生活においては、
1ヶ所に定住、というわけにはいかないのです。
丁度、私がババイ家にいる間に引っ越しすることになったので、
今回はそのお引っ越しの様子をご紹介したいと思います。
まずは、引っ越し準備から。
冬営地にて。この人達本当に移動するのかな?と思うほど、家の中には家具がびっしり。
ベッド3台、ソファー1台、食器棚2台、テレビ、テーブル、長持ち2つ、鏡台、ほかほかほか...
ですが、2日前になってばたばたと荷造りを開始したのでした。
荷造りとは別に、夏営地で住む家の準備もしなくてはいけません。
そう、フェルト製の移動式住居です。モンゴル語では「ゲル」と呼ばれます。このゲルという言葉は日本でもよく聞かれる言葉だと思うのですが、カザフ語では「ウイ」と呼びます。
引っ越し前に、ウイの補修作業をしなくてはなりません。
例えば、壁を直したり↓
フェルトを縫い直したり↓
ウイはゲルとは構造が異なり、高く広い造りになっているため、冬にはあまり適しません。そのため多くのカザフ人は冬はスタックウイ(暑い家,温かい家)と呼ばれる木造住居で生活します。ウイに住むのは夏秋の3〜4ヶ月間だけなのです。久しぶりに引っ張りだしてきたウイを直す必要があるというわけです。
ばたばたと、引っ越しにむけて準備をしつつ、いよいよ16日に!
当日は、大きな大きなロシア製トラック「ゴチ」がやってきます。
これです、ゴチがやってきた!↓
引っ越し屋さん、朝6時にくるはずだったんですが、朝8時にやってきました。
大遅刻ですね。笑
荷物を積んで積んで積んで、あららあっという間に出来上がり!
引っ越し先(夏営地)は、冬営地より12kmほど山を登った先にありました。冬営地よりずっとずっと寒いところでした。ババイ家が移動した場所は、サエハンボラクと呼ばれています。サエハンボラクとは、モンゴル語で、「良き泉」「美しき泉」を意味することばです。水資源、草、ともに豊かな綺麗な場所でした。
ゴチ(車)でのろのろのろのろと3時間くらいかけてサエハンボラクに到着。到着してまずはお茶飲んで、パン食べて、ゆっくり一段落してから、家の組み立て作業に移りました。
さて、どうやって家を建てるのかというと?
まずは、扉から。
↓これだけみると「どこでもドア」みたいな感じなのですが。。。
この扉に壁を結びつけていきます。
格子状になっている木の壁をぐいーーーんと引っぱり、結び結び繋げ合わせて丸い形をつくりあげていきます。壁を結びつけたら、まわりをぐるっと紐で固定します。
次に、家の柱となる部分と、天井部分(天窓)を結びつけて持ち上げます。
ババイ家では、木の柱でしたが、後で越してきたお隣さんは家の内部に柱がなく、天窓を持ち上げるときは、ジェルバオと呼ばれるしっかりした紐を使って天窓を持ち上げてました。
こんな感じに↓
さて、天窓をもちあげたら、天窓に開けられている穴に向かって、棒を差し込んでいきます。棒の上の部分を天窓に、下の部分は壁に結びつけていきます。
木の枠組みを組み立て終わったら、あとは、壁や天井部分を、模様の描かれた布→アクチー&オラガンチー(←"カザフの装飾品"を参照)→フェルト→雨対策のビニール→外壁となる固い生地の布などで、ぐるぐるぐるぐるぐると包み込むように巻いていきます。
最後に、天窓に日光量を調節するための布をかぶせて、完成です!
じゃーーーーん!
↓ババイ家正面
↓ババイ家内部
あーーーーー、やっとできたーーーーーーー!!!
で、その後、ベッドや家具などを家の中に入れて入れて整えて、お隣さんの家の組み立ても手伝って、気がついた頃にはもうとっぷり夜になってました。げはーーーー。お引っ越しって大変。長い長い一日でした。blogの記事もすっかり長くなってしまいました。。。すいません。
次回は、ウイ組み立ての時に感じたことをちょっと書いてみたいなと思ったりしてます。
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衣食住