私は日本で知人や友人からモンゴルのゲルについて質問されるとき、よく、「ああ、えーっと、なんだっけ、モンゴルの遊牧民の家.....あれ、ゲル?パオ?」と言われる事がありました。
私は中国語については全くわからないのですが、いわゆる遊牧民たちの移動式住居のことを、中国語で「包(パオ)」と表現されるようですね。なるほど、確かに、前回ご紹介したとおり、ウイを建てる時、フェルトやカバーで家全体をぐるぐるぐるぐると包み込むように巻いていく様子が印象に残ります。
↓こんな感じ
大きな部分に注目すれば、この「包む」行為というのは、ウイなどの移動式住居を建てる上で非常に重要な行為だと言えると思います。ですが、今回、サエハンボラクでカザフ人達と一緒にウイを建てていたとき、「包む」以外に、もうひとつ、ウイを建てる上で非常に重要な行為があると感じました。それは、「結ぶ」ことです。
どんなところをどんな風に結んでいたのか、ちょっと振り返ってみると。。。
まず扉や壁と壁同士を紐で結びつけて繋ぎあわせ
ぎゅ。
柱と天窓を結びつけ
天窓と壁を棒で繋ぎ合わせてから、その棒を壁に結びつけ
ぎゅぎゅ。
上や周りに巻き付けるカバーや布には紐がついていて、壁に結びつけることで固定し
ぎゅぎゅぎゅ。
内部に飾られる飾りも全て壁や上部の木製棒に結びつけることによって、飾られていきます。
ぎゅぎゅぎゅぎゅ。
ウイの外部や内部をみていると、
いろんなところにいろんな形で紐が交差している様子が見られます。
こんな感じに、釘をうつでも飾りを貼付けるでもなく、結ぶことによってウイは構成されていくわけです。で、この結ぶ際に使用されている「紐」は一体どんなものを使っているかというと。。。
一般的に、バザール(市場)で購入したというこんな紐があったり。
牛の毛と羊の毛を巻いてまいて作られたというこんな紐があったり。
ほかにも、壁の強度を高めるために、
壁となる木材の隙間をらくだの皮によって作られた紐で結びあわせてたり。
紐ひとつに注目してみてもなかなか奥深くて面白いわけです。
そして、そんなカザフウイの中で用いられている多くの紐たちの中でも、
最も私のハート射抜いたのは、これです!!!!!!!じゃーーーーーーーん!!!!
最も私のハート射抜いたのは、これです!!!!!!!じゃーーーーーーーん!!!!
なんだこのキレーな紐は!
これは、テェルメという手法によって作られた紐です!
テェルメは「織り」を意味する言葉です。これらの紐は、多くの糸と糸を織ることによって作られていきます。丈夫であるということで、壁を固定するときの紐(バスコル/オクパオ)として、あるいは、柱を固定するときの紐(ジェルバオ)などとして使われます。
織る際に、カザフ文様を浮かび上がらせていくので、飾り紐としても使用されます。とってもおしゃれですよね。さて、このテェルメ、一体どういう風に作られていくのでしょうか。実際、頭痛くなるような地道な作業の繰り返しなわけですが、次回はテェルメの作り方をご紹介したいと思います。続く!