さて、あっという間に1週間はすぎ、私はケンデバイ家を離れて、ババイ家にやってきました。(どういう経緯でそこに泊まる事になったのかは、「アルタイ村へ」をご覧下さい)
ババイさんは、クグルシンさんの12歳年下の弟さん。ババイさん一家は、アルタイ村の中心から、割と近いところに位置していました。
ババイ家には、子どもが二人。基本的に子どもが多い家庭をよく目にするカザフ社会では、珍しいな、と感じました。(ちなみに、サグサイ村でお世話になっているマナイ家の子どもは10人、ウルギー市でお世話になっているクグルシン家の子どもは7人。。。)
当然、労働力も少ないわけで、ババイ家ではケンデバイ家ではしなかったような仕事もお手伝いしました。そう、初めて、山羊の搾乳にチャレンジすることになったのです!
と、いうわけで、今回は「搾乳」についてお話したいと思います。
以前の記事でも少し触れましたが、この時期は、仔家畜の体力が十分ではないという理由と、乳製品を作るために沢山乳をとる必要があるという理由から、一日のうちの大部分は親家畜と仔家畜をわけて放牧に出します。夕方に一度親家畜を小屋に戻し、搾乳作業をして人間が利用する分の乳を搾乳した後に、親子一緒に再度放牧にだす、というサイクルです。
搾乳の時間になると、一家はもう大変なのです!搾乳する羊と山羊を捕まえて、縄で首をぐるぐる巻いて固定します。が、捕まえるところから大変。小屋の中とはいえ、じたばた逃げ出す羊や山羊を追いかけるのには、瞬発力と体力が必要です。。。
↓こちらは別の家庭にて撮影した写真ですが、結構子ども達は余裕の表情。(むしろ、楽しそう。笑)
ずらーーーーーーっと羊山羊を並べて、やっと全部縛り終えたかなという頃に、さぁ、こっからが女性たちの本番ですよ!端から一頭ずつせっせと搾乳するわけです!
↓搾乳中の女性。こんなにずらーーーっと並んだ羊山羊1頭1頭から乳を搾るのです。
ババイ家の女性は、奥さんのマイグルさんと娘のアイジャンのみ。女性二人で、羊31頭、山羊37頭を搾乳しなくてはいけないのです。
と、いうわけで、少しでも彼女達の負担を減らそう!と、私も搾乳に加わる事になりました。「左手でしっかり乳をにぎって、右手の人差し指と中指で絞るんだよ。簡単だよ」と、アイジャンは言うわけです。
んが。
ぜんっっっっっっっっっっぜん簡単じゃないんですけど?!
えっ、出なーーーーい!なんで出ないーーーー??
しかも山羊の激しい抵抗に負けておずおずしてしまった自分。アイジャンは、すごい気迫で山羊の乳をがっちり掴んでバシバシ絞ってました。じぎじぎじぎじぎじぎじぎじぎじぎ....っと、山羊に声をかけながら、絞っていくわけです。
でも、ずっと絞ってると、今度は指が結構痛くなる。。。なんでこんながっつんがっつん絞れるんだ、アイジャンは?!
「私は5歳の頃から搾乳してるよ」
と、さらっと話すアイジャン。すげー。
アイジャンはテキパキちゃかちゃかと搾乳して、あっという間に入れ物(カザフ語でチェレックという)がいっぱいになるのに、私のはいつまで経っても満たされない。てか、私の場合、手が山羊の糞だらけになって衛生的に汚い。←
それでもなんとか1週間やって、なんとか1Lは絞れるようになりました。2時間しぼってたった1L。あ〜。全然役にたってないぞ〜。。。がっかりです。
一方のアイジャンとマイグルさんは、座りっぱなし絞りっぱなしで、1回2時間の搾乳で20Lの乳を搾ります!20Lって、こんなにいっぱい!!!!
やっと搾乳が終った頃にはさすがのアイジャンもマイグルさんもちょっとぐったり。結構な重労働なのです。寒くても暑くても毎日毎日絞らなくてはいけません。こうして絞られた乳を利用して、お茶に入れたり、乳製品をつくったりするんですね。
と、いうわけで、次回はそうやって絞られた乳から、一体どんな乳製品が出来るのか?自分で実際に作るところに立ち会ったものを中心に紹介していきたいと思います。