8月4日。
この日は、私のウルギーでのホームステイ先だったクグルシンさんの次女ヨルカに、
家財道具一式を贈るお祝いの茶会の日でした。
カザフでは、嫁いだ娘に対して、
結婚してから1年後に夫婦の新たな生活を祝って家財道具一式を贈る習慣があります。
ヨルカは7年ほど前に結婚したのですが、経済的な事情もあり、なかなかこの茶会を開くことができずにいました。
それが、なんとラッキーなことに今回の私の滞在中に開かれることになったのです!!
これは絶対にみたい!と、お願いして参加させていただくことになりました。
この茶会の事を、カザフ語で「トゥセク・オロン」といいます。
今回のblogでは、そのお茶会が行われるまでの準備の様子について、ちょっとご紹介します。
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茶会の5日ほど前。
クグルシン家のある部屋に、新しいマットレスや枕など寝具が置いてありました。
いよいよ茶会の日が近づいているのか~と思うと、ちょっとわくわく。
ヨルカ夫婦に贈られるものの中でもこまごましたものは、カバンの中に入れて運ばれます。
ちなみに、カバンの端にはウクウと呼ばれるふくろうの羽がつけられていました。
カザフの人たちには、大切なものにこのウクウをつける習慣があります。
なぜふくろうの羽なのか?それには諸説あるのですが、よく言われるのが
「ふくろうの羽の模様がコーランの文字に似ているから」
だそうです。だから、この羽はお守りとして、神聖なものとして扱われるそうです。
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茶会の3日前。
ウランバートルから大量の絨毯(工場製)が送られてきます。
絨毯は、ヨルカの旦那さん側の親戚にお祝いの品(これをコルジュンと呼ぶ。)として贈られるものだそうです。
この時すでにクグルシンさんたちは、旦那さん側の親戚から様々なお祝いの品をいただいていました。
つまりクグルシンさんたちは、お祝いの品をくれた旦那さん側の親戚に対して、そのお返しとして絨毯やら新しい衣服、布などを贈らなくてはいけないのです。8軒分も準備したとか。大変~。
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茶会2日前。
日中、クグルシンさん側の親戚達に茶会が行われることを知らせにまわります。
すると夕方にはクグルシンさんの親戚達がクグルシンさんの家に集まってきます。
親戚たちは、お祝いの品を持ってきます。お祝いの品は、主に洋服など。
この日はお祝いに来てくれた親戚たちと一緒に、羊肉を食べました。
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茶会前日。
クグルシン家はますます慌ただしくなっていきます。
夕方、羊を一頭煮込みます。
この煮込んだ羊肉は、箱に入れられ乳製品とともにひとつの袋の中に入れられます。
これとは別にもうひとつ、お菓子と果物がたくさん入れられた袋が用意されます。
この二つの袋(中身)のことを、ダスタルカンといいます。
ダスタルカンは、茶会に持っていかれます。
茶会にはこのダスタルカンに加えて、馬乳酒(この時は10リットルだった)も持っていかれます。
写真
クグルシンさんの奥さんは、朝から晩まで大忙し。
カザフ人にとって、この「トゥセク・オロン」と呼ばれる茶会が、
本当に大切な茶会であることがわかります。
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そして茶会当日の朝。クグルシン家に車がやってくる。軽トラック!
トラックに荷物を詰め込みます。
全部詰め終わった後、玄関で飴をばら撒き、出発を祝います。
これをカザフ語で「シャショー」と言います。投げられた飴は拾っていただきます。幸せのおすそ分けって感じでしょうか。シャショーは、結婚式や卒業式など、お祝いごとのときにはよく行われます。飴は年配の女性によって投げられます。
さぁ、これでやっと出発の準備がすべて整いました!
一体どんな茶会になるのか・・・・・・・いよいよトゥセク・オロンに乗り込みます!
つづく